ランチを終え、総一朗さんが運転する車で実家に向かっている。総一朗さんはいつもと全く変わらない様子なのに、自分の生まれ育った家に行くのに私ひとりが落ち着きなく気が気じゃない。

母親には電話で伝えた。彼を連れて行くと言うと、一瞬『えっ?』と戸惑った声が電話の向こうから聞こえたが、すぐに『了解。お父さんと待ってる』と快い返事が返ってきた。

だから特に緊張することもないし、いつもどおりに「ただいま」と帰ればいいだけのこと。なのに、こんなにそわそわして落ち着かないのは……。

チラッと、運転席を覗き見る。

そう、連れて行く彼氏が総一朗さんだから。

テレビ大好きゴシップ大好きな母のこと、テレビや雑誌で話題の総一朗さんのことは知っているはず。もちろん結城オフィスジャパンの社長だということも知っているが、その人が私の彼氏だとは思ってもいないはず。

平凡極まりない中の下の私には似合わない彼氏の登場に、ふたりがどんな顔をするのか……。

「怖すぎる……」

「何が?」

突然目が合ってしまい、慌てて目を逸らす。