「総一朗さん、起きて下さい。そろそろ支度しないと、洋匡さんが迎えに来ちゃいますよ」

寝室のカーテンを開けながら声を掛けると、ベッドの上の総一朗さんがもぞもぞと動き出す。

「なあ和花、ちょっと来て」

布団の中から右手が伸びてきて、こっちへ来いと私を呼んでいる。

また始まった……。

これは毎日のこと。この後どうなるかわかっている私は、渋々総一朗さんのところへ向かう。

やれやれ。

今日こそは絶対に捕まるものかと構えてベッドの前に立ったのに、布団から出ている腕は私の腰に巻き付くと、あっという間に布団の中へと引き込んだ。

「うわっ!!」

布団の中で視界がグルングルンと変わりたどり着いたのは、ベッドの上で総一朗さんに組み敷かれて身動きひとつできない状態。

「和花、おはよう」

「お、おはようございます。総一朗さん、毎日毎日よく飽きないですね。こんなことしてると、本当に遅刻しますよ。っていうか私が遅刻しちゃいます」

これも毎日、同じセリフ。

総一朗さんは聞き慣れてしまっていて、何食わぬ顔している。

「だったら呼ばれても来なきゃいいだろ」

来なきゃいいって、それを総一朗さんが言う?