翌日、父親が仕事に出たのを確認するとダイニングに向かい、キッチンで朝ご飯の片付けをしている母に声を掛ける。

「お母さん、おはよう。今ちょっといい?」

「あれ? 何、和花まだいたの?」

洗い物をする手を止めダイニングに来た母は、私の顔を見るなり笑いだした。

「あんた、何その顔。パンパンにむくんでるわよ」

自分の腹を叩きながら笑う姿は、まさに典型的なおばさんそのもの。自分の母だが、あんな風にはなりたくないと思ってしまう。

二日連続で大泣きした私は、どうやら今日は目だけではなく顔まで腫れがってしまったらしい。

「お母さんには言われたくない。いい加減、笑うのやめたら」

気分が良くない上に笑われて、朝からテンションが低くなる。

「ごめんごめん。で何? 話があるんでしょ?」

気持ちの切りかえが早い母は、ダイニングの椅子に座るとゆっくりお茶を飲み始めた。

「会社、辞めてきた」

「そうなんだ。いつ?」

「昨日」

「そう。大きな会社だからでかしたって思ったけど、和花には荷が重かったか」

「ごめん」

「なんでお母さんに謝るの。和花が決めたなら仕方ないじゃない。いい社長さんだったけどね」

いい社長さんと言われて、身体が過敏に反応してしまう。