恋にはならないわたしたち
落ちているものを食べてはいけません。


幸せそうな新郎と花嫁。


大阪の外資系一流ホテルでの披露宴に出席している瑞穂は供されるフランス料理を食べながら、これが終わった後に開かれる二次会の段取りを一生懸命頭の中で復唱していた。



入行6年目、銀行の同期同士の結婚で、瑞穂は新婦側の二次会幹事を任されていた。



これで何人目の友達の結婚式だっけ。
焦るつもりはないけれど、今現在恋人と呼べる存在もいない瑞穂は何となくこのままではダメかなと思う。



「真木、膝からナプキンが落ちそうだぞ」



同期ばかりが集められたテーブルの隣の席には光沢が美しいブラックスーツを一分の隙もなく着こなした三池。

落ちかけたナプキンを瑞穂の膝にまた広げてくれる。

「ありがと、三池」

「折角女らしいカッコしてんのに・・・」

「ああ!?」

「そんな大口開けて頬張らんでも・・・」


わざと聞こえるようにため息をついた三池のピカピカの革靴を5センチピンヒールで軽く踏みつけた。


「真木!」


つーんと知らん顔をして小難しいフランス語の名前のついた緑色のソースがかかった海老を頬張る。


今日の瑞穂は黒のノースリーブのワンピース姿。シンプルな膝丈のそれは鎖骨が綺麗に見え、胸の下の切り替え部分からはチュールが重ねられている。

ショートボブの髪はサラサラと流れ、耳からはシルバーの繊細なチェーンの先、パールが揺れる。
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