心にきみという青春を描く
3palette□ とまと色の帰り道





次の日。私は詩織先輩と昼休みを利用して学校の外にいた。約束していた桜並木のスケッチの下見のためだ。


「この辺がいいかもね。週末挟んで月曜日からやりはじめる?」

「はい」

今年の桜は遅咲きだったので今は八分咲きくらいで、ちょうど月曜日辺りに満開になりそうだった。


「あら、それ新しいやつ?」

下見だけと分かっていたけれど、どうしても詩織先輩に昨日買った画材を見てほしくて私は持ってきていた。


「松本先輩のお父さんが少しだけ安くしてくれました!」

「そうなんだ。私もそろそろ筆の買い替えどきだし、一緒に行けばよかったかな」

「じゃあ、今度一緒に行きましょう」

『またいつでも』と帰り際に言ってくれたし、ちゃっかりとポイントカードまで作ってしまった。


私は昨日、絵の具や水彩色鉛筆の他に筆も買った。

私が持っていたのは絵の具セットに付属として付いていたものだったし、せっかくだからとなぎさ先輩に筆も選んでもらったのだ。
 
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