隣の席の魔法使い。
優しい魔法。





side優香



初めての夏祭りは楽しくて楽しくてそして何よりも幸せなものだった。


あれから2週間だろうか。

毎日毎日幸せで私の左手薬指には青葉くんから貰った婚約指輪が光っている。


あぁ、幸せだなぁ。


今日もまたこの夏休みの日課である青葉くんのお見舞いへと病院へ来ている。

今日は珍しく穂乃果ちゃんも岡崎くんもいない日。

二人っきり、たまにはそんな日も悪くない。

むしろ嬉しかったりする。


見慣れた扉に手をかけてガラガラと音を立てて扉を開く。


「青葉くーん、お見舞いに来たよ」


そして少し小さな声で青葉くんに私は声をかけた。


「あぁ、西島か」


そんな私を見て青葉くんが嬉しそうにでも弱々しく微笑む。


青葉くんは日に日に弱っている。

それはお見舞いに来ているだけの私でも十分にわかるほど。


だけどね、幸せにするって決めたから。

私の幸せは青葉くんの側に居られることだから。


最期まで私は笑顔で青葉くんの側に居続けるよ。





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