「ん……」


 目を開けると、そこには使い慣れたベッドの上だった。
 良かった。あれは全部夢だったんだ。

 ホッと胸を撫で下ろし起き上がる。そして、大きく背伸びをして鏡の前に立った。あれ……コンタクトは着けたままなのに、服だけパジャマに着替えてる。変なの。

 私は禿げかけたメイクを、メイク落し用のコットンで拭きコンタクトを外した。スッピンのまま色気も何もない黒縁メガネを掛け、髪も無造作に掻き上げて後頭部でひとつにクリップで止める。完全なる休日モードだ。

 きっと今の私を見たら、誰も分からないと断言できる程に別人だ。

 お腹空いた……パン、まだあったかな。

 私は部屋のドアを開けて、違和感を感じた。あれ?私まだ夢の中にいるのかな。

 真新しい広い廊下を突き当りまで進み、陽の光と思われる灯りが漏れるドアを開けると、そこは別世界が広がっていた。


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