独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「これからもたまに一緒にランチしよう
「はい」

 休憩時間が終わる時間になり、立ち上がると智也さんに声をかけられた。

「午後からも頑張ろうな」

 そして頬にちゅっとキスをされて、私は突然の出来事に脳の処理が追い付かずフリーズした。
 立ち尽くしている間に智也さんは取引先との待ち合わせのため部屋を出て行った。
扉の向こうにいた秘書の山口さんに会釈されたのを見て、はっと我に返る。

「わぁぁぁ……」

 その場に崩れ落ちて、憧れのシチュエーションの詰め合わせであることに気が付いて萌えが溢れる。

 一体どうなっているの? これって政略結婚ですよね?

 それなのにどうしてこんなにドキドキさせられているの――。

 理解に苦しむ私は、なかなか鎮まらない胸の鼓動を感じて動揺を隠せないでいた。


< 116 / 284 >

この作品をシェア

pagetop