独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「君たちには負けるよ。本当にしつこい」
「え……?」
「連日連夜来るなんて、非常識だよ」

 顔を上げるといつも仏頂面の高橋さんが、くしゃくしゃっと皺を寄せた笑顔を見せてくれる。言葉は辛辣だけど、笑ってくれていて喜んでいいのかそうでないのか分からず苦笑いをする。

「ですよね、すみません……」
「でもありがとう。ここまで娘のためにしてくれるなんて、嬉しく思います」
「じゃあ……」
「確約はしない。気が向いたら行くことにするよ」
「明日、待っています。最高の挙式にしてみせます!」

 はい、とタオルを差し出され、新郎と私はそのタオルを受け取って濡れた髪を拭いた。そのタオルの感触は、とても温かくて柔らかかった。

 冷たい雨に打たれて心が折れそうだったけど、救われた気がした。
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