幼馴染みと、恋とか愛とか
頼られてもなぁ……
「紫苑、妹だよ〜」


そう言って見せられた赤ん坊が萌音だった。
俺はその頃まだ三歳で、いつの間に母が赤ん坊を産んだんだろう…と不思議に思って首を傾げた。


「よろしくね、紫苑ちゃん」


萌音の母親がそう言って微笑み、(そうか、おばちゃんが産んだんだ…)と納得がいく。

三橋萌音の母親と俺の母親とは同世代で、ほぼ毎日のように顔を合わせては喋り合っていたんだ。


ピンクのベビー服に身を包まれた萌音は、頬っぺたがぷくぷくとしていて可愛かった。

ミルクの香りがする顔に近付くと、子供ながら胸がきゅん…として、指先でその頬っぺたを押すと餅のように柔らかくて、思わず口に頬張り、食べてしまいたい様な気持ちになった。

ジッと食い入るように見てると萌音はいきなり顔を真っ赤にして泣きだし、驚いた萌音の母が慌てて「お乳の時間ね」と言って立ち上がる。

大きなオッパイをポロンと出しても当時の俺は何とも思わず、美味そうにそれに吸い付く萌音の姿をずっと面白そうに眺め続けていた____。




「ん…」


懐かしい夢を見たな…と瞼を開けながら思った。

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