溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
6、楽しい休日 ー 遥side
「あ〜、スッキリした」

温泉に浸かって浴衣に着替えた楓が、大浴場の出入り口から出てきた。

髪はアップにして頰はピンクに染まり、なかなか色っぽい。

今日泊まる部屋にも露天風呂がついているが、広いお風呂に入りたいという彼女の希望で大浴場へ。

確かに渓流沿いの露天風呂は景色が素晴らしく、来て正解だったかもしれない。

「機嫌は治ったか?」

出入り口近くにある椅子に座って彼女を待っていた俺は、そう声をかける。

釣り場の池に落ちて彼女のテンションは下がりっ放しだった。

おまけに車での俺の発言が気に入らなかったのか、こちらが話しかけてもずっと機嫌が悪くて……。

ホント世話が焼けるが、そこが可愛くもある。

それは、多分、楓が俺だけに見せる顔。

修也の前で不機嫌になることはまずない。

他の男の前ではどうなのだろう?

また別の顔を見せているのかもしれないな。
< 84 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop