彼の隣で乾杯を

休暇の終わり




朝の日差しとぬくもりに包まれて目を開けると高橋の腕に抱え込まれるようにしっかりと包まれていた。

ああ、あたたかい。
他人のぬくもりってこんなに気持ちがよかったんだ。

ああ、昨夜高橋とキスしたんだっけ。
キスして・・・何度もキスして・・・そしてどうしたっけ?

あれ?
覚えてない。
その先、覚えてない。

した?
その先した?

ん、でも腰回りとかいろいろ違和感ないような?
してないってこと?

「̪シテないよ」

そっか、してないのか。
ん?

ガバッと顔を上げると高橋はもう目覚めていて私を見て口角を上げてニヤついていた。

「なっ」

「何で私の考えていることがわかったのかって?」

げっ。
またなの?また私の思考を読んでいたってこと?

「だから、由衣子の考えてる事なんか大体わかるって」

「私は高橋の考えてる事なんかわかんないけどっ」

その言い方もどうなのよ。悔しくてぷいと顔をそむける。

「怒るなって。ゆうべの由衣子は可愛かったのに」
私の頭に顔を寄せてすんすんと匂いを嗅いでいる。
次第に彼の顔が耳元に、そして首すじへと下りてくる。
背中からお腹の奥にじんっと何かが走っていく。

「あ・・ん」

やだっ。自分で漏らした声に恥ずかしくなる。


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