その瞳は、嘘をつけない。
7章 situation shu
「わかりました。また明日出直します。失礼します。」

街でも一番か二番目に大きな総合病院。
入院中の被疑者の容態を見るために毎日のように通いつめているが、状況は芳しくない。
命の危険があるわけではない。
そろそろ退院させても良いのではと思うほどに回復している様子も見受けられるが、担当医師は、まだ事情聴取を受けられる程回復していない、の一点張りだ。
あの医師、被疑者の家族から賄賂でも受け取ってるんじゃないかと疑いたくなる。

こんな状況で一向に進まない捜査、他の雑務や上からの小言。
無性に腹が立つ。
車に戻ってタバコでも吸うとしよう。
車や服に臭いを残すと実加は嫌がるけれど、当分会いに行けそうな見込みもないので気にしたって仕方がない。

駐車場へ向かうために病院のロビーに出る。
ここには受付と会計、そして薬の受け渡し窓口がある。
さすが大きな総合病院。
準備の出来た薬の番号が電光掲示板に多数表示されているが、椅子で待っているであろう人もかなりいる。
体調が良くない状態でこんなところで待たされるのもさぞ大変だろうなという同情心と、病院への不信感。
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