「ま、ま、豊川ちゃん、もう一杯!」

豊川より一期上の先輩である伊東が、彼女の空いた白磁の湯呑みに、同じ白磁のポットからジャスミン茶を注ぐ。

豊川は酒を呑むと青白くなって吐くタイプだそうだから、一滴も呑ませてないのに、なぜか酔っ払ったみたいに、ぐでんぐでんになってテーブルに突っ伏している。

ちなみに伊東は、ビールと紹興酒をかばかば呑んでいたが、顔色ひとつ変わらない「証券マンの鑑」だった。
大学時代から相当鍛えてるに違いない。


「伊東、大体おまえが面倒くさい雑用を秘書室に持っていくから、豊川君の負担になるんじゃないか」

おれがそう言うと、伊東は肩をすくめた。


……何のために、おまえをおれの秘書にしたと思ってんだよっ。

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