もう一度、愛してくれないか
関西の名門私大である「K・KG・D・R」のうち、伊東はD大を卒業していた。
大学時代ラグビー部で、バックスのウイングだったそうだ。
ごっつくて暑苦しい動物園の熊やゴリラみたいな男たちフォワードが、前方で取っ組み合って押し合いへし合いして、やっとの思いで後ろへころころと掻き出したボールを、後方のウィングがひょいと拾って、まだ取っ組み合ってる熊やゴリラたちを尻目に、ゴールポストを目指して、ピューマやチーターのように軽やかに爽やかに駆け抜け、トライを決める。
はっきり言って、ウイングは一番カッコいい(おいしい)ポジションである(と、おれは思う)。
取っ組み合う必要が圧倒的に少ないので、柔道選手みたいに耳がギョーザやシューマイみたいに潰れてないし、クラブ一の俊足であることが多いから体型も細マッチョである。
それに、伊東の場合は顔も良かった。
つまり、イケメンだ。
……あの「個性的」なお嬢さんたちを、なんとか手懐けてくれるかな、と思ったんだがな。