もう一度、愛してくれないか
♤Chapter 4♤

妻がこのクィーンサイズのベッドで眠るのは、ここ大阪に赴任するにあたってこの2LDKのマンションを借り、一緒に家具や身の回りのものなどを用意していた時以来だ。

サイドテーブルにはいつの間にか、白い陶器のアロマランプがあって、そこはかとなくオリエンタルでスパイシーな香りが漂ってくる。

「……おい」

隣に身を沈める彼女を、おれはぐいっ、と引き寄せた。

「いい香りだな……」

おれの腕の中にすっぽり入った小柄な彼女が、おれを見上げて、ふふっ、と微笑んだ。

「お昼間に、梅田の華丸百貨店へ行って、生活の木で買ってきたの」

そう言う彼女の前髪をかき上げ、広い額に軽くキスをした。そして、そのまま、鼻筋をなぞるようにしてキスを進ませ、ぷるっとしたくちびるに辿り着く。

そのまま、(ついば)むようなキスをしていたら。

「……明日……仕事でしょ?……いいの?」

すでに甘い息遣いになっている彼女がささやく。
確かに明日は金曜日で、仕事がある。

だが、この前抱いたのは……いつだっけ?

……あぁ、そうだ。

三月・四月の年度末・年度始めは忙しくて(三月末の彼女の誕生日も帰れなかった)先月のゴールデンウィークもこっちで接待ゴルフ三昧で、東京の家には一泊しかできなかった。

もしかして、二月に東京へ帰った時以来じゃないか?


……だったら、なおさら。

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