「あなた、片付けが終わったから、
……こっちに来て」

妻は、既にダイニングチェアに座っていた。

「おまえの方こそ、こっちに来いよ」

おれは、面倒だな、という顔をつくって、今座っているヴィンテージ風のダークブラウンのカウチソファに、妻を促そうとした。


これからおまえがなにを言おうと、思いっきり抱きしめて、この柔らかいカーフスキンのソファに沈め、おまえが目論(もくろ)む何もかもを、有耶無耶にしてやる。

あんなホストみたいな名前の(たぶん)歳下の男なんか、速攻で忘れさせてやる。


だが、妻は首を振った。

「あなたがこっちに来て……お願い」

おれは渋々、ソファから立ち上がった。

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