騎士団長のお気に召すまま
紺碧の騎士団
数日後、アメリアは青の騎士団へと向かうことになった。

騎士団にて住み込みで働くことになり、仕事の詳しい内容はシアンから直接教えてもらうのだ。

両親と使用人に見送られて、アメリアは長年住み続けたミルフォード家を立つことになった。


「頑張るんだぞ」


父親は目に涙を溜めていた。それを隣で見ていた母は呆れたように微笑んで別れを惜しむ。


「それにしても、随分と離れたところに行ってしまうのね」


騎士団の基地はアメリアの暮らしていたミルフォード邸から随分と遠い場所にある。

ミルフォード邸宅から王宮がある王都を超えて更に西の方角に存在している基地までの移動は、シアンが用意してくれた馬車を使うこととなった。


「ええ、けれど繋がりが切れるわけではございません。またすぐにお会いできますわ」


アメリアは母の手を握り微笑むと馬車に乗り込む。


アメリアが乗り込んだ馬車には執事であるロイドも乗車せず、アメリアただ一人きりだった。

付き添いもなくたった一人での外出はアメリアにとっては今までにないことで、緊張と同時に心が躍る。


「どうかお元気で」


手を振り、父母の顔を脳裏に焼き付けるように見つめる。

やがて馬車は発車し、思い出の実家はどんどん遠ざかって行く。

アメリアは決して振り返ることはしなかった。ただ前を見据えて自分のやるべきことのみ考える。


脳裏に焼き付けた父母の笑顔が瞼にうつり、改めて決意を強くするのだった。


やがて基地が見えてきて、その大きさに圧倒された。

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