その先へ
憧憬
「うわ~小さ~い、かわいい~」

奏斗とやり直すとなったあの日から1ヶ月。
輝乃に女の子の赤ちゃんが産まれてお祝いに奏斗と二人でお邪魔していた。

「ん~いい香りもする~やわらかぁい」

腕にすっぽりとおさまる小さな命に私は感動しまくっていた。

「お前、赤ん坊の抱っこ慣れてるな?」
「そう?まぁ、友達や親戚の赤ちゃんけっこう抱っこしてるしね。奏斗も抱っこしてみれば?」
「いや!オレはいい。落としそう、怖い」
「ちょっとー。私の天使を落とさないでよー」

ビビっている奏斗に輝乃も笑っていた。

「この子が輝乃のお腹の中にいたんだもんね。不思議だよね。ホント命って尊いって思うね」
「そうだな...」

フギャと泣き出した赤ちゃんを輝乃に返すと、母親の顔であやしている。
妊娠中も強く優しかったけれど、更に増したような気がする。



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