その先へ
混乱
「円香、悪いけど、友達連れて帰っていいか?簡単につまみ作って貰えると助かる!申し訳ないけど頼む!」


そんな連絡がきたのは、奏斗とちゃんと話をしようと決めてから1ヶ月ほど過ぎたころ。
奏斗の仕事もようやく少し落ち着いてきたらしく、以前のように二人でゆっくり食事もできる日も戻ってきた。


なのに話ができなかったのは私の勇気がなかなかでなかったから。


「珍しいなぁ」


基本、奏斗は自分のテリトリーに他人が入るのが好きではない。
私ですら、初めて奏斗の部屋に招かれたのは付き合い後半年以上たっていたと思う。


今日来る人はよほど気を許してる相手なんだろう。
何となく羨ましく思いながら、奏斗の評価を下げないように美味しいつまみを作ろうと張り切った。


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