外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
いけない。こんなことで不満を抱いちゃ。
奏介はお仕事なんだから。
きっと、六月さえ終われば、夏はもっとゆっくり一緒に過ごせる。


夏と言えば、新婚旅行をまだちゃんと決めていなかったこと思い出した。
日曜日の夜、奏介が帰ってきたら、一緒に眺めながら決められるように、旅行会社を回ってパンフレットを集めておくのもいいかもしれない……。


そんなことを考えていたら、気分も上向き始めた。
なにげなく手に取ったスマホにメールが着信しているのを見つけて、「あ」と口を開けて呟く。


差出人は藤悟さん。
スケジュールを調整して、お稽古の候補日時を知らせてくれるものだった。
挙げられた中で、一番早いのは今週の日曜日、午後三時からの一時間。
なんてグッドタイミング!と思った。


旅行会社を回るのは土曜日でいい。
奏介が帰ってくるのは日曜日の夜。
お稽古してもらった後、スーパーに寄って買い物して夕食の支度をしても、十分間に合う。


頭の中で即座にタイムスケジュールを組んで、ついでにシミュレーションもしてみた。
どう考えても無駄な時間もなくかつ効率的で、それが最良の過ごし方だと思えた。


早速藤悟さんのメールに返信すると、『OK。お待ちしてます』と快諾してもらえた。
そういうわけで、少し薄曇りの日曜日の午後、私は奏介の実家を訪ねることになったのだ。
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