無敵の剣
命懸けの恋
年が明け、将軍上洛の警護を新選組に任せたいと依頼があった



その知らせを持って来た人が



「斎藤一に話がある」



「……私です」




私と雪の事、雪と家茂様の事は
誰にも知られてはならない


幹部全員の前で、どういうことだ



「庭に下りよう」

「はい」



皆に疑われることされたくないんだが…




「塚本善之助から、伝言だ
母が亡くなったと…」


年末に会った時、お婆さんは元気だった
そんな、突然…



「他の世話に訪れる者に家の換気は頼んであるから、心配しなくていいとのことだ」


お婆さんが…




「おい、聞いているのか?」


「はい……すみません あの、お墓は?」


「夏に塚本が教えるだろう」


「ゼンさんは?大丈夫ですか?」


「あぁ それにしても…
塚本といい、其方といい
殿とは、不思議な縁があるようだな」


「はい」


「すまんな 仲間に疑われはしないか?」


「会津からの回し者だと思われてて…
疑いが濃くなったかとは思いますが
敵でないなら、それでいいと言われております」


「そうか 殿の近くにおれば良いのに」


「断られたんですよ」


「……そうか」


「勝手にですが
心の友のように、お慕いしております」


「寂しい方だ
その言葉を伝えるよ
さぞ、喜ばれるだろう」




そのまま、使者が帰って行った


私は、庭に立ち尽くした



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