イジワル上司にまるごと愛されてます
後日談
 柊哉と付き合い始めて四ヵ月と一週間が経った十月上旬。その日は来海の三十歳の誕生日だった。柊哉が予約してくれた神戸の高層ホテル最上階にあるフレンチレストランからは、大きな窓から海へと続くきらびやかな夜景が楽しめる。街や大きなホテルの明かりはもちろん、ライトアップされた赤い神戸ポートタワーなどが見えた。店内にはゆったりしたピアノのBGMが流れていて、落ち着いた雰囲気だ。

 前菜の“明石蛸のヴィネガーマリネ”から“野菜のスープ”、魚料理は“舌平目のポワレ”と来て、今は肉料理の“神戸牛のロースト・エシャロットソース”が給仕されたところだ。神戸らしく、食材も地元や近海でとれるものが多い。

 神戸牛のローストはナイフを入れると力を入れなくてもすっと切れ、口の中で肉とは思えないようにとろけていく。エシャロットの風味の残るソースが絶妙のバランスだ。

「んー、おいしい。幸せ」

 来海はほぅっと息を吐いた。目の前には大好きな人、彼の背後には美しい夜景。料理はとてもおいしくて、最高の誕生日プレゼントだ。

「こんなステキなところに連れてきてくれてありがとう」
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