(やばい!つい……)
焦った碧をよそに、和也はフワリと笑みを見せただけだった。

「え……?」

「さっきも言っただろ?本当は気が強くて、負けず嫌い。それを必死に押し込めて、無理やり自分の殻に閉じこもってるようにしか俺には見えない。本当の君は自由で、感性の豊かな人だろ?何をそんなに怖がってるんだよ?」

呆れたように言われた気がして、碧はカッと頭に血が上るのがわかった。

「なっ!何も知らないくせに勝手な事言わないでよ!今日会ったばかりの人に、そこまで踏み込まれたくない!はいどうぞって言われてそんな風になれれば今頃こんなところで一人で来てない!」
一気にまくしたてて、ドンと机を叩いた碧は、大きく息を吐いた。

(しまった……)

高級ホテルという事も忘れて、大声をあげ、挙句の果てに取材先の一番偉い人にたてついた自分に、碧は真っ青になった。

「あの……私。申し訳ありません!失礼します」
慌てて財布から適当にお札を出すと、テーブルの上に置き碧は和也に視線を向けることなく走り出した。