ヴァンパイアの花嫁
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「今日は調子が良いようだ」


食事の進むシェリルを見てレオンが満足そうに言う。


「はい。とても気分が良くて……」


「思い出したことはないか?」


レオンの言葉に、シェリルは首を横に振る。


レオンは自分と交わったシェリルになにか変化が起きたのではないかと期待していた。


そういう力がレオンにはある。


「ごめんなさい……」


「何を謝る?記憶が戻らなければいいと願ってしまうというのに……」


レオンが静かに言うとシェリルの目が大きくなった。


精神的ショックを受けない限り記憶を失うことはない。


ひどいことがあったに違いないとレオンは感じていた。


思い出した時、シェリルに苦痛を与えたくない。


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