ヴァンパイアの花嫁

幸せの為に

「ティナとふたりだけにして欲しい」


ティナをベッドに横たわらせるとレオンが言った。


「わかった」


エミリオは頷くとアメリアとダーモッドを連れて部屋を出た。


静かに閉まったはずの扉の音にティナは目を覚ました。


ヴァンパイアになって感覚が研ぎ澄まされたのだろうか。


「目が覚めるのが早いな。喉が乾いたのか?」


「い、いやっ!」


ティナは身体を起こすと大きくかぶりを振った。


本当はレオンの言うとおりだった。


喉が異常に渇いている。


渇望感……。


「ティナ、無理をするな。まだ飲み足りないはずだ」


レオンがベッドに腰をかけるとティナの目をまっすぐ見た。


「あたしは本当にヴァンパイアになってしまったの?」


泣きそうな顔のティナを抱きしめようとレオンは手を伸ばす。


だがティナは身体をさっと動かしてレオンの手を避けた。


「……そうだ」


レオンは宙に浮いた手をぎゅっと握った。



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