Sweet break Ⅲ

Sweet break⑧

関君が連れて行ってくれたのは、横浜のみなとみらいエリアにある、多国籍料理のお店。

夜景も堪能できるその場所は、実は関君の大学時代の先輩が経営してるお店だそうで、そのオーナーさん（関君はシゲさんと呼んでいるらしい）の計らいで次から次へと美味しそうな料理が運ばれてきた。

『諒太が、初デートに俺の店を選んでくれるとは、マジで嬉しいよ！』

関君より５つも年上の豪快な”シゲさん”は、在学中から世界中を何か国も旅して周り、その途中で知り合った奥様と昨年結婚して、地元でもあるここ横浜で、お店を開いたとのこと。

そのがっしりとした体格は、繊細な料理人と言うより、アメフトかラグビーの選手のような体形で、人の好さが身体中から溢れ出ているような人だった。

『別に…だから選んだわけじゃ…』
『照れるなよ、うんうん、ここが二人の思い出の場所になるわけだな…、え～っと、倉沢…何ちゃんだっけ？』
『答えなくていいぞ、倉沢』
『あ、朱音です』
『バカ』
『朱音ちゃんか！こいつ、ちょっととっつきにくいとこあるけど、案外良いやつだから、末永くよろしくな』
『え…あ、はい、こちらこそ？』
『…ハァ、お前、何、返事してんだよ』
『え？あ…あれ？』
『ハハハ…素直な良い子じゃないか！さぁ、遠慮なく、どんどん食ってってくれよ、なっ』

飾らない人柄が、にじみ出るようなシゲさんは、関君の背中をバシバシ叩く。

あの関君が、膨れながらもされるがままにしている様子から、よほど信頼してる人なのだろう。

こんな関君も、またまた新鮮で、新たな関君を発見した気がして嬉しくなる。