シェヘラザード、静かにお休み
お姫様、ご機嫌斜めかい
結果、欲しい情報は何も手に入らなかった。
ルイスは考えた。それはそうだろう、この街は宿屋も働き口も多い。
ここ最近新しく来た男女の顔と言われても多過ぎて手に負えない。
「ちょっと、その顔やめてくれない? ご飯がまずくなる」
「お前も少しは先のことを……」
「見つからないなんて普通のことだと思うけれど」
シーラはリゾットを少し掬って口に運ぶ。
焦る理由も分かる。レオナルド殿下が帰るよりも先に王女を城に戻すと言っても、肝心の王女が見つからないのでは本末転倒だ。
「王女様だって命がけの生活なのよ」