シェヘラザード、静かにお休み
恋は、月のように
比較的すんなりと街を出ることが出来た。
しかし、進みが遅い。
「これ、レオナルド殿下が城につく方が早かったりしてね」
倒れた木に座り、シーラはワンピースの裾を直す。
「城の周りの商店が機能し始めたらしい」
車の中でラジオを聞いていたルイスが言うと、シーラは立ち上がってその窓から身を乗り出した。
「それに対してテロを起こす者はいないのね。カリスマ性があるわ」
ルイスはシーラ越しに外を見た。確認したのはアメリアのことだ。
「王女様は執事と一緒に向こうの川まで行ったわよ。心配なら見て来なさいよ」