〜starting over〜

私が叫ぶと、真輝は女の子に「ごめんね」と謝って、私の隣へ走ってきた。

「今日熱いな~。杏は他の人より肌が白くて綺麗なんだから、日焼け気をつけないと。俺日焼け止め持ってるけど使う?」

鞄の中を探りながら、1人喋る真輝。
誰の肌と比べてるのよっ、と思うのは僻みだと思う。
真輝を無視しながら、沸き上がる怒りと虚しさを噛み殺す。


私、片平杏(かたひら あん)
今年、地元の高校に入学した15歳。
憧れのJKライフを送るはずが、既に男女の修羅場を経験済み……てか、現在進行形。
中2で同じクラスになって、中3になる時に真輝から告られて付き合い始めた私達は、中学生らしく清いお付き合いをしていた。
これも今でも、現在進行形で。
そりゃあ……キス、くらいはしたけど……。
当時の真輝もこんなんじゃなかったし。
私だって、キス以上の事に興味がない訳じゃないけど。
初めてだし、怖いって気持ちもあった。
ただ、まだ大人の経験は早いかな、て。
今からしてしまうと、これから先が解らないっていうか……。
何より、受験もあったし、2人で同じ高校に行く為に勉強頑張りたかったのよ。
真輝にも、高校に入るまで待ってって……。
ちゃんと話してあったのに、どうしてこうなったんだろう……。

無事受験を終えて、いざ入学してみると、真輝は同級生や上級生からモテ始めた。
そのキッカケとなったのが、1冊のファッション雑誌。
受験を終えた冬休み。
真輝が、東京にいる大学生のお兄さんの所に遊びに行った時、スカウトマンに声を掛けられたらしい。
本人も、思い出に、と撮られた写真が雑誌に大きく載った事から反響を呼び、真輝は注目を集めるようになった。
こっちに戻っ来てからも、何度か編集者からオファーがあったと聞いたけど、本人にその気は無く断ってるみたいだった。
それでも、お洒落に敏感な10代の間で話題となり、入学した高校で騒がれて今に至っているんだよね。
そりゃあ、自分の彼氏が話題になるのは誇らしい気もするけど。
でも、それと浮気は話が別!
もうどれだけの女の子と関係しているのかは解らないけど、私が知ってるだけでも2桁だし……。
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