イジメ返し3
「おじさんも同じ気持ちなの……?」

「あぁ。僕も早く里子のところへ行ってやりたいんだ。何度も二人で一緒に心中しようとした。でも……」

「死んでも死にきれない。里子ちゃんの無念を晴らすまでは。そういうこと?」

分かるよ、おじさん。カンナもおじさんと同じ気持ちだから。

「あぁ」

「人間はどんなに憎い相手でも傷つけてはいけないと理性で押さえつけることができる。一線を越えてはいけないと本能で分かってるから。でも、その理性を解き放てばおじさんとおばさんはきっと里子ちゃんの仇を取れるはずだよ」

「里子の仇……?」

「そう。死ぬ勇気があるなら生きてやり返る勇気を出さない?おじさんとおばさんが死んだら誰もあの一家を裁けない。死ぬのはそれからでも遅くないよ」

「本当にあの一家に……?」

「もしおじさんとおばさんがやりたくないって言ってもカンナはやるから。カンナはやり返す。ママをイジメたあの一家を……絶対に許さない」

決意を込めてそう言って立ち上がると、二人に微笑んだ。

「もし、決意が固まったら連絡くださいねっ」

そっとテーブルの上に連絡先を書いたメモを置きバッグを肩にかける。

「それじゃあ」

そう言って二人に頭を下げて一歩踏み出した時、

「西園寺さん!」

おばさんがカンナの名前を呼んだ。

振り返るとおばさんは真っ赤に泣きはらした目をカンナに向けた。

「やります。私達にやらせてください……。里子の仇をとらせてください!」


その目には全てを捨ててでも成し遂げてやるという決意が感じられる。

「カンナも協力します。イジメ返し、始めましょう」

ギラギラと血走った赤い目をカンナに向けるおばさんにカンナはにっこり微笑んだ。
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