その花が永遠に咲き続けますように
5/15
永君と知り合ってから、既に一ヶ月が経っていた。
五月なので暦上はまだ春だけれど、毎日段々と暑くなっているのを感じる。
今年の夏は暑さが厳しいかもしれない。今日も、まだ朝なのに随分気温が高い。



永君とは、CDを借りたあの日以降は片手で数えるくらいにしか会っていない。予想通り、校舎が違うから廊下で擦れ違うことはないし、授業も被らない。


CDを返す時にはメッセージを送り、帰り道にあるあの石垣の所で待ち合わせた。他の日も、帰宅途中にバッタリ会うことが何度かあったくらいだ。


彼ともっとゆっくり話してみたいことはあるけれど……そこまでは踏み込めない。彼と今以上に親しくなるのは怖い。だから、帰り道にたまに偶然会うくらいの関係でいい。それ以上は望まない……。




「今日のホームルームでは、再来月にある文化祭について話し合いをしたいと思います」

朝のホームルームで、教壇の前に立つ担任の先生がそう話す。

担任は四十代くらいの男性教師で、口調も雰囲気も落ち着いた感じの人だ。



「文化祭って普通は秋にやらない?」

「いやいや、うちみたいに七月にやる学校も結構あるみたいよ」

近くの席からは、クラスメイトのそんな声が聞こえてくる。


文化祭かぁ……楽しめる自信は全くないというのが本音ではある。


担任の話によると、各クラスで一つずつ出し物をする決まりになっているらしい。二年生は校内で展示、三年生は校舎周りで屋台、そして一年生は自分達の教室を使って自由に出し物を企画して良いとのこと。
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