惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
身も心も丸裸になった夜


「それで何回目だと思う?」


琴子に呆れたように言われたのは、空き巣に入られた夜から数えて三日目のお昼のことだった。

ふたりでやってきたのは、お決まりのカフェレストランSHINY。注文したのは、スパイシーチキンやグリーンサラダ、キヌアのガーリックローストを自分のスタイルでトルティーヤに包んで食べるタコスプレート。
目にもおいしそうなそれを前にして、大きなため息を吐く私を琴子が窘めた。


「料理を前にしてため息なんて吐くものじゃないよ」


まったくそのとおりだと思う。


「……ごめんね」
「なにかあったの? もしかして副社長に『もう彼氏のふりみたいなことはできない』とか言われた?」


琴子が副社長の口真似をして言う。きっと私を笑わせようとしてくれたのだろう。
でも、その質問に私は首を横に振った。


「それじゃなに?」


琴子はトルティーヤにチキンを挟み、大きな口を開けて頬張った。

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