副社長は今日も庇護欲全開です
もっともっとお近づきになりました
それは、私も同じ……。副社長ともっと話がしてみたいと、そう思っていたけれど、まさか誘ってもらえるなんて考えてもみなかった。

「迷惑かな?」

なかなか返事をしない私に、副社長はそう聞いてくる。慌てて小さく首を横に振った私は、彼を遠慮がちに見た。

「私のほうこそ、迷惑になりませんか?」

「そう思うなら、誘ってないさ。下村さんは、自宅はどの辺り?」

「ここから一時間ほどの……」

郊外にある町だと伝えると、副社長は数秒考えてから言った。

「それなら、スペアブホテルの店に行かないか? あそこに、美味しい多国籍料理のレストランがあるんだ」

「スペアブホテルですか?」

きっと、私が住んでいる場所と方向が同じだから、提案してくれているんだろうけど……。

スペアブホテルといえば、超がつく高級ホテル。著名人の結婚式はもちろん、VIPな人たちが使用するホテルてして有名だ。

そこのレストランなら、かなり値段も高そう……。さすがに尻込みしていると、副社長が当たり前のように言った。

「今夜は、俺が誘ったからご馳走する。さあ、行こう」
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