羊と虎
第三章

習慣で今朝もいつも通り6時前に目が覚めた。

「あれ?私、どうやって帰ってきたんだっけ?」

布団から出ればキチンとパジャマに着替えて、メイクも落としてあった。

「え・・と、凱の車に乗って、今日の行き先を決めた所までは記憶に有るんだけど・・・
じゃぁその後は?」

記憶が無いという事は本当に恐ろしい。

何か失態をしたのかもと青くなり、その場で呆然と立ち尽くしてしまった。

「あ!?ヤバイ!ボーっとしてたら走る暇が無くなる!!」

かなりの時間立ちつくしていたが、ふと、我に帰り慌てて着替えてジョギングに出た。

何時もなら無心になって気持ちよく走れるのだが、昨晩の事が気になって走る速度も落ち、気分も浮上しないままだった。
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