溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
「写真はこれでいいよね? あとインタビューなんだけど、やっぱり佐々木君忙しいみたいで、日中にまとまった時間は取れないようだから、私がとってくるね」

ふたりの仲裁に入るように言うと、切り替えの早い薫ちゃんは落胆の声を上げた。

「えー残念です。でも仕方ないですね。お医者さんは忙しいですもんね。私の分まで内容の濃いインタビューをお願いしますね!」

「うん、わかったよ。じゃあ薫ちゃん、笠井君とインタビュー内容の方、お願いね」

インタビュー内容はその時の仕事の状況で、手が空いている人が考えるようにしている。

笠井君の気持ちが報われてほしくて、少しでもふたりの仲が深まれば……と思ってふたりでって提案したけれど、笠井君にとっては迷惑だったかな。

薫ちゃんは「喜んで! 笠井君、気合い入れて考えるよ!」とやる気満々。

一方の笠井君はいつも通り「うるさい」なんて言っているけれど、私と目が合うと小さく頭を下げた。『ありがとうございました』と言うように。

余計なことをしちゃったかもと思っていたけどよかった。これで少しでもふたりの仲に進展があったら嬉しいな。
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