溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
番外編 10年分の独占欲
環奈と付き合いはじめて約半年。お互い仕事をしているから、なかなか思うようには会えない日々ではあるけれど、交際は順調だと思う。

連絡はこまめに取り、何気ないことで笑い合い、時にはお互い仕事の愚痴を零し。

会わなかった時間を埋めるように、俺たちは暇さえあればお互いのことを話していた。



「それでね、笠井君と薫ちゃんが今日もまた喧嘩しちゃってさ。もう止めるのが大変で……」

そう言いながら環奈は、残りのビールを一気に飲み干してガックリ項垂れた。

環奈と毎日のように連絡は取り合っているけれど、会うのは二週間ぶり。付き合い始めてからの環奈は、最初はどこ
かよそよそしいところがあったが、今ではすごく打ち砕けて話してくれる。

デートとは少し場違いな居酒屋で、こうしてふたりでお酒を飲みながら話せるのも親密な関係になっているからだと思う。

頬杖をつき、ため息を漏らした環奈を宥めるように、俺は手を伸ばし彼女の頭を撫でた。

「それは大変だったな。でも仲直りしたんだろ?」

「……うん」

嬉しいのを我慢しているのか、唇をキュッと噛みしめる姿がなんとも愛らしい。
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