溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
ずっとずっと、好きだったんだ。
『ずっと好きだった』

彼の熱くストレートな告白は、私の心を大きく揺さぶった。

十年前に告白された時も衝撃だったけれど、今、大人になってからの方がもっと衝撃を受けた。

何度も何度も自分に問うてしまう。『信じられる? あの佐々木君が私のことを想ってくれていたなんて』って。

それは彼に家に送り届けてもらい、布団に入ってもなかなか寝付けないほど。そして次の日、出勤してからもずっと――。

「……輩。……環奈先輩」

「えっ、あっなに?」

ハッとし隣を見ると、薫ちゃんは顔をしかめた。

「もう、なにじゃありませんよー! 環奈先輩ってばどうしちゃったんですか? 今日は朝からずっと上の空ですよね?」

薫ちゃんに指摘され、言葉に詰まる。

今は十四時。彼女の言う通り、今日の私の頭の中は佐々木君の言葉が繰り返されていて、仕事に集中できずにいたから。

お昼を食べて、午後の打ち合わせが始まると同時に切り替えようと思ったものの、いつもの如く薫ちゃんと笠井君の言い争いが始まってしまった。

呆れながらも止めても無駄だと悟った私は傍観していたわけだけど、いつの間にかまた佐々木君のことを考えていた。
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