拒絶された後の憂さ晴らし
拒絶された後の憂さ晴らし
世の中では受動喫煙の防止を目的として、公共の場所や施設等において分煙化が進んでいる。


私の勤める会社も例外ではない。


社内でも分煙化が進んでおり、喫煙所は一箇所しか存在しない。


ヘビースモーカーではないが、ふとした瞬間に煙草が恋しくなり、仕事の合間を見ては日に何度か喫煙所に訪れている。


最近、喫煙所で良く見かける顔がある。


春に人事移動があり、地方営業から本社勤務になった添野 潤(そえの じゅん)だ。


いつも俯き加減で煙草を吸い、クールを装っている。


近寄り難い雰囲気なので声をかけた事はないのだが、今日こそは勇気を出して声をかけてみようと思っている。


喫煙所での常套手段。


「ライター貸してもらえます?」


気に入った男はそうやって声をかけて誘い、落としてきた私。


「…そのライター、やるよ。だから、二度と話をかけるな」


30歳そこそこに見えるこの男は、私に悪態を付き睨み付ける。


あぁ、そうね…この男は、清楚系の可愛い"アノ子"が好きだったんだと思い出す。


噂では私と同じ部署の後輩がお気に入りらしいのだ。


近付きたいのに近付けない…、誘惑してもなびかない。



さて、どうしたものか?

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