社内恋愛狂想曲
何年付き合っても結婚しない人はしないし、長く付き合って結婚してもうまく行かない人だって、逆に交際0日で結婚してうまく行く人だっているのだ。

千絵ちゃんの旦那さんとのなれそめ話は、私の中の結婚に対する固定観念を打ち崩したと言っても過言ではない。

そして伊藤くんの“お互いになんの期待もしてない相手と結婚した方がうまく行くのかも”という言葉も、私の中にはない結婚観だった。

確かに私は護に期待しすぎて、悪いくせやイヤな部分が見えなくなって……いや、あえてそういうところを見ないようにしていたのかも知れない。

もうやめようと決めてしまうと、不思議なもので護に対する不満とかイヤなところが次々見つかる。

振り返ってみると、付き合いだした頃の護はいつだって私の気持ちを何よりも大切にしてくれていたのに、いつの間にか私を所有物扱いするようになっていたことに気付いた。

女は男に尽くして当たり前とでも思っているんだろうか、思い上がりもいいとこだ。

引く手数多の護は私と別れても痛くも痒くもないだろうし、それどころか厄介払いができたと清々するくらいだろう。

好き勝手したのは護なのに、私だけがダメージを受けるなんて許せない。

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