社内恋愛狂想曲
Don't delay ~準備はいいか~
私と瀧内くんは三島課長を支えながらタクシーに乗せ、一緒に三島課長の家に向かった。

タクシーの中でも三島課長は、私の手を握ったまま私に体の重みを預ける。

瀧内くんはそんな三島課長を横目で見ながら少し嬉しそうに微笑んだ。

「あーあ……酔ってるのをいいことに甘えちゃって……」

「みんなの前ではいつも頑張っていい上司してるんだから、たまには甘えてもいいんじゃない?それにほら……今日は本当に思いきったんだと思うから」

「まぁ……志織さんがいいならいいんですけどね。潤さん、本当に頑張ったと思うので。僕がとどめをさす前に、潤さんが自分で動いてくれて良かったです」

「とどめって……瀧内くん、何を言うつもりだったの……」

おそるおそる私が尋ねると、瀧内くんはニヤリと笑う。

「あの人、前にいた部署では課長だったそうですね。そこで勤めてる同期の友達から聞いたんですけど、離婚の原因はあの人の度重なる浮気らしいです。離婚後は社内の歳下のイケメン男性に、かなり手広く粉かけて回ってたみたいですよ」

「えーっ……節操なさすぎ……」

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