クールな次期社長と愛されオフィス
「頂いてもよろしいんですか?」

「構わないさ。まぁその紅茶を無駄にするもしないのもお前次第だけどな」

うっ。

またそんな上から目線な言い方。

でも、この紅茶、ひょっとして私のために用意してくれたんだろうか?

忙しい合間をぬって?

いや、まさかね。

自分用に買っておいた紅茶を部下にもお裾分けしてくれただけだ。

「ありがとうございます。安心して下さい。決して無駄にはしませんから」

部長にそう返すと、電話の向こうでくくっと笑う声が聞こえた。

最近、少しだけ笑ってくれるようになったんだよね。

今までむっすりとして、表情一つ変えなかったのに。

だけど、普段忙しく息つく暇もない部長の笑う姿を見るとなんだかホッとした。

笑ってる間だけでも、リラックスできてるんじゃないかって。

もちろん秘書的立場として・・・・・・だけど。

電話が切れた後、早速その紅茶の封を開けてみる。

封を開けた途端、懐かしいような癖のない紅茶の香りが上がってきた。

なんだろう。

この感じ。

緑茶やほうじ茶に近い印象を受けてる自分に驚いていた。

パッケージの裏の生産者を見ると、日本製の紅茶だった。

日本製?

紅茶は日本を起源としないから、買ったことも淹れようとも思ったことがなかったんだよね。

でも、この香り。初めてだ。

紅茶をポットに入れて、沸いたお湯を注いだ。




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