クールな次期社長と愛されオフィス
その時、部長の声のトーンが少し落ちた。

『ところで、お前の休日はいつだ』

「休日?」

『この会社以外にも珈琲店で働いて忙しいだろうけど、丸1日あいてる日はないのかってことだ』

急に何?

胸の奥からとくんとくんと自分の鼓動が聞こえてくる。

「え、来週の日曜日・・・」

思わず、自分の休日を言ってしまった。

言ってしまったていうか、何を期待してるんだろう。

期待するようなことはなにもないかもしれないのに。

『うん、来週の日曜か』

部長はしばらく考えているようだった。

『わかった、来週の日曜日は何も予定は入れるな。家まで俺が迎えに行く』

「はい?!」

部長が迎えに来るって?

どういうこと?

もしかして、もしかする?

私、部長からデートに誘われてるとか?

だけど、前みたいに「俺に付き合え」って出張か何かの付き添いかもしれないし。

『行けるのか、行けないのか、どっちだ?』

少し緊張した部長の声が耳元に響いた。

「はい、行けます」

『うん』

部長が小さく頷く。

『この後、知り合いの商社で情報仕入れてくるから今日は社には戻らない』

「はい、わかりました」

そして、電話は切れた。

体中がぼわーんとしていて力が入らない。

とにかく。

とにかくだ。

頭をコツンと右手で叩く。

来週の日曜日は空けとくってことが部長からの指示ってことで。

力は抜けているのに、心臓だけは強く鼓動を打っていた。

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