クールな次期社長と愛されオフィス
湊の視線をなるべく感じないようにしながら、なんとかタマゴサンドが出来上がった。

「久しぶりだな、アコのタマゴサンド」

湊はおいしいと何度も言いながらタマゴサンドを頬ばった。

普段おいしいものを食べ慣れてるはずだから、きっと私を喜ばそうとしてくれてるに違いない。

だけど、そうやって口に出して言われたら胸の奥が温かくなる。

湊の優しさに触れるたびに私の生真面目すぎる性格が少しずつ緩んでいく。

それは肩に入った私に力を抜けよと言われているみたいに。

タマゴサンドを食べ終えた湊が顔を上げて口を開いた。

「アコ、例の新規プロジェクト。『ニューヨーク・ニュース』に取り上げられることになった」

「え?『ニューヨーク・ニュース』って、アメリカで一番売れてる雑誌じゃないんですか?」

「うん、そうだ。実際開業は来年の秋になる予定だけど、そのプロジェクト内容が斬新だと高く評価を受けてるようでね。来週インタビューに来るらしい。いい宣伝になる」

「すごい!」

普段クールな湊の笑顔はとても新鮮で、こちらまで嬉しくなる。

それにしても、湊はやはり一流だ。ニューヨーク・ニュースに取り上げられるなんて。

家柄と関係なく彼の持つ才能と情熱は、誰にも負けていない。

どんなに仕事のできる役員クラスの人達ですら、湊は今や一目置く存在だった。

そんなすごい湊のそばにいても大丈夫なのか、時々心配になる。

毎日のように甘く私に愛をささやいてくれる湊だけど、彼の足を引っ張るようなことだけはしたくはない。

上へ上へ上っていく湊を見ていると、自分からどんどん離れていくようで時々恐くなる。

「アコちゃん?」

お皿を洗う手が止まっていた私の横にマスターが声をかけていた。

「あ、すみません」

「今日はもう上がっていいよ。アコちゃんの素敵な彼氏さん待たせちゃ悪いし」

マスターは冷やかすような顔で私の腕を肘で突く。

「でも、まだお皿洗いかけだし」

「これくらい大丈夫さ。今日はミズキちゃんも最後までいてくれるみたいだし」

店内のテーブルを拭いていたミズキも笑顔で私に頷いた。

「すみません。いつも勝手しちゃって」

「そんなことないさ、じゃ、また明日」

そう言うと、マスターは私の肩をポンポンと叩いて帰るよう促した。

私はマスターとミズキに頭を下げると、エプロンを解きながら湊の方へ向かう。





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