秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
「光一さん何て?」
電話を切るとすぐに柊ちゃんにそう聞かれた。
食事の後に部屋に呼ばれました。
そう答えようとして口をつぐむ。
柊ちゃんとじゃなくて、一人で、って言われたし、もしかしたら柊ちゃんに聞かれたくない話があるのかも‥。
だとしたら、ここで正直に話すのは光一さんに悪い気がした。
いやでも、社長にうしろめたい話を聞くなんて、秘書としても会社的にも良くない‥。
「‥九条?」
「え、えっと‥光一さんが私の落とし物を預かって下さっているそうで、食事の後副社長室に取りにくるよう言われました」
─嘘、ついちゃった。
罪悪感でいっぱいになる私に、柊ちゃんが疑いの目を向ける。
「本当か?」
「本当です」
目を見ていたらなんだか目を泳がせてしまいそうで、誤魔化すようにハンバーグを口いっぱいに頬張りながらそう答えた。