理系教授の秘密は甘々のはじまり

学会二日目の乱

翌朝、6時に目覚めた波実の横には、しっかりと波実の腰を抱いて眠る葉山の姿があった。

波実はビックリして2度見してしまったが、葉山が彼女と間違えているのだろうと思うことにした。

「あのー、教授、起きてください」

葉山の耳元に波実の甘い囁きが聞こえる。

「うーん、波実?おはよう,,,」

葉山が波実についばむキスをする。

「ちょっ、教授、彼女と間違えてるんじゃないんですか?」

「,,,間違えてない。俺の彼女は波実だろ?」

いつのまに彼女になったのか?葉山にとって、一緒のベッドで眠れば彼女になるのか?

一緒のベッドに寝たとはいえ、自分達は深い関係になったわけではない。波実は、寝入りばなの深い眠りは例外として、それ以外の眠りは浅いのだ。何かあればわかるはず。

男性経験のない喪女の波実でもそれくらいはわかるつもりだ。

「教授、冗談は,,,」

「真澄」

「えっ?」

「二人の時はそう呼ぶこと。ほら」

波実は、波実を抱き抱えたままじっと見つめる葉山に抵抗できずに

「ま、真澄さん」

と呼んだ。

「ん、合格」

真澄が破顔したのを見て、波実が顔を背ける。

「冗談はこれくらいにして、は、早く朝食にいきましょう」

真澄は、波実の腰に回していた腕を緩めると、ゆっくりと起き上がり、目にかかっていた前髪をかきあげて言った。

「冗談にはさせないから」

「30分後、一緒に朝食にいくぞ」

そう続けると、真澄はニヤリと笑い部屋を出ていった。

いったい今週の葉山はどうしたというのか?

甘々の葉山に振り回されっぱなしの波実が、今日の学会発表のことなど頭から吹き飛んでしまっていることに気づくのはもう少し先のことだった。
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