35階から落ちてきた恋 after story ~you are mine~

番犬の固いガード

もともとプライベートでメンバー三人が一緒にいるわけじゃない。
高校で知り合って約20年。もう30半ばの大人だ。

果菜ちゃんにぞっこんなタカトの様子を身近で見ているとイライラしたり、嫉妬にかられることもある。
タカトから奪うつもりは毛頭ないけれど、意地悪くらいはしたくなる。

今までも何度か接触を試みるけれど、タカトは最初から俺を警戒していてなかなか果菜ちゃんに近付けない。
さすがは20年来の友達。
お互いの女性の好みもわかっているというわけか。
今まで好きになる女が被ったことはないはずだけど俺に対するタカトの果菜ちゃんガードはかなり硬い。

そんな時、コンサートツアーに使う写真の撮影スタジオに果菜ちゃんが現れた。
慣れないスタジオの雰囲気に委縮している果菜ちゃんを見ると、如何にタカトが無理を言って連れてきたかってことがわかる。
可哀想に。

たまたまタカトが席を外したタイミングで果菜ちゃんに近付いた。
番犬がいないことなんて滅多にない。
でも、ひと言、ふた言声をかけただけでふれあいタイムは終了。

「おい、勝手に触んな」

いつの間にか番犬が戻って来て果菜ちゃんの腰を抱き寄せる。
慣れないピンヒールで恐々歩く果菜ちゃんを支えただけでこの態度。独占欲の塊だな。


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