愛してるのに愛せない。
第Ⅱ章
翌朝、私は、太陽の差し込む光で目が覚めた。
今日は一日暇なのでせっかくならどこかに行こうと、洋服を着替えるとリビングに入る。

「おはよう。」

「おはよう。」

元気に挨拶を返してくれたのは、姉の旦那の義君。

「今日は、義君休み?」

「今日は、午後から出勤。」

「そうなんだ。」

椅子に座って用意されていた朝ごはんを食べる。

「どこか行くの?」

「うん。今日暇だからちょっと遠出しようと思って?」

「気をつけてね?」

そう優しく笑う義君を選んだ姉の気持ちがなんとなく少しだけわかるような気がした。
竜王は、危険な匂いがするけれど、義君は安心感をくれる。
癒し系男子。

「ご馳走様。」

そう言って、食器を片付けると、私は再び部屋に戻って出かける準備をする。

「ちょっといい?」

そう言って入ってきた姉。

「なに?」

「竜鬼の人にもし会って私のことを聞かれたら、公園に赤ちゃん抱いていたって伝えて。」

「・・・・。」

「・・・早く終わらせるべきなのよ。」

そう言った姉に対して、私は頷いた。
姉にとっても義君にしても、探されているのは気分は良くないのだろうう。
準備ができた私は、久しぶりに海まで行ってみようと、玄関に向かう。

「行ってきます。」

そう言いながら空を見上げると、どことなくどんよりとした天気。
でも、まだ太陽がでているし大丈夫だろうと、傘を持たずに歩き出す。
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