冷酷な王さまは愛し方を知らない

場違い



「とても綺麗よ、リズ」

「うん!とっても似合ってるわ!」


声高々と両側から飛んでくる賞賛の声に恥ずかしくなる。
今日は舞踏会当日。
サーシャさんに用意してもらったドレスに身を包み鏡の前に立った。



「私、背も低いし胸だって…、ちんちくりんじゃないでしょうか」

「背が低くても大丈夫なようにかわいい系のドレスにしたの。大丈夫よ」

「とっても似合ってる!」



そこまで褒められると逆に不安になるというもの。
まぁ、でも。
別に誰が見るでもないのだし。
私がどんなみすぼらしい格好をしていたとしても、気にとめる者は誰もなし。

そう思えば少しは気が楽だわ。



どうせきっと、結果は決まっているんだろうし。
庶民から婚約者をなんて、そんな破天荒なことするはずがない。

ただの王さまの気まぐれ。
貴族のお遊びの延長みたいなものよね。



だったら、楽しんでしまおう。


< 14 / 413 >

この作品をシェア

pagetop