冷酷な王さまは愛し方を知らない
level 7

努力



「リズ…っ!」

「きゃっ、コハクくん…」


コハクくんが姿を現したのは私が倒れてひと月ほどたったころだった。
そこまでずっと姿も見せず、ひたすらに私のため国のために動いてくれていたのだ。
その甲斐があってか、セシリアの行方を掴み繋がりがあったのは敵国であるゴールド王国だということまでつきとめていた。
セシリアの身柄も拘束し連れ戻ってきたのだという。

全ての任務を果たして戻ってきたコハクくんは、私の姿を見るなり泣きそうな顔になって私に抱きついてくる。
思いきり抱きしめられ、ドギマギと戸惑う。


「こ、コハクくん…」

「話、聞いた。足、障害残るって」

「…うん」

「俺のせい。俺、リズの事護るって決めてたのに。護れなかった」


今にも泣き出しそうで。
そんなにも心配してくれていたことに嬉しくも想う。


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